発達障がいのある児童を支援する放課後等デイサービスについて解説

発達障がいのある児童を支援する福祉サービスとして、近年では「放課後等デイサービス」の利用率が増加傾向にあります。放課後等デイサービスとは、発達障がいを抱えたお子さんが将来的にできる限り自立して生活できるよう、さまざまな支援を通して学びを得る施設です。

この記事では、発達障がいの保護者で放課後等デイサービスの利用を検討している方に向けて、放課後等デイサービスの概要について解説します。どのような役割を持っているのか、利用条件や放課後等デイサービスを利用することで得られるメリットなどを取り上げているためぜひ参考にしてください。

1.放課後等デイサービスの役割

放課後等デイサービスは障がい児を支援する施設です。施設によって運動療育に力を入れているなど特色があるものの、基本的には共通した役割を担っています。

ここでは、放課後等デイサービスの役割や支援内容、活動内容について解説します。

1-1.子どもの健全な育成

放課後等デイサービスの役割のひとつが、子どもの最善の利益を保障することです。具体的には、就学中の子どもに対して、放課後や休日に生活能力向上に向けた訓練や、社会との交流を促進する活動などを行います。

放課後等デイサービスはさまざまな障がいを抱えた子どもが利用しますが、支援内容は子ども一人ひとりの状況に応じて検討されます。普段の生活を送る学校や家庭とは違った第三の場所で、ほかの人と同じ時間を共有し、さまざまな経験を経て子どもの健全な育成につなげるのも放課後等デイサービスが持つ役割です。

1-2.子どもの地域社会への参加に向けた支援

放課後等デイサービスは、発達障がい児を支えるのはもちろん、子どもが地域社会に参加できるように支援する役割も担っています。

地域社会に参加するとなると、さまざまな人との関わりは避けられません。一方で、子どものなかには人との関わりやコミュニケーションを得意としていないケースもあります。

そのような悩みを抱える子どもたちに対して、放課後等デイサービスは集団での活動を提供するなどして地域社会への参加に向けた支援を行います。そういった意味で、放課後等デイサービスは、共生社会の実現に向けた後方支援を担う組織だといえるでしょう。

 1-3.保護者の支援

放課後等デイサービスは、子どもの支援だけでなく、保護者の支援も行います。たとえば、「悩み相談を受け付ける」「ペアレント・トレーニングを行う」なども発達障がい児を抱えたご家庭に対して放課後等デイサービスが持つ役割のひとつです。

また、放課後等デイサービスでは発達障がい児の一時的預かり、ケアの代行をしているため、保護者のプライベートな時間を保障します。保護者が心にゆとりを持ち、子どもと向き合えるようにすることが、結果的に子どもの健全な成長につながると考えられます。

 2.放課後等デイサービスの利用対象となる児童

放課後等デイサービスは、発達障がいを持つ子どもなら基本的に利用できます。しかし、施設の利用にあたっては、一定の条件を満たす必要があるのも事実です。

ここでは、放課後等デイサービスを利用する具体的な条件について解説します。利用を検討している方は、参考にしてください。

2-1.発達障がいなどのある6歳～18歳の就学児童

放課後等デイサービスは、原則として6〜18歳の就学児童が対象となります。発達障がいを持つ子どもはもちろん、学習障がいや身体障がいなど、さまざまな障がいを持つ児童が利用対象です。

ただし、年齢に関しては例外があります。18歳を過ぎても、発達障がいの度合いなどにより放課後等デイサービスの支援を受ける必要があると認められれば、最大で20歳まで施設を利用できます。基本的に、年齢で利用条件が定められている点を覚えておきましょう。

2-2.診断や療育手帳がなくても利用できる場合もある

放課後等デイサービスは、発達障がいなどの障がいを持つ児童が対象です。しかし、必ずしも医師による診断や療育手帳が必要なわけではありません。

たとえば、発達障がいの診断を受けていない子どもでも、「療育センターや病院といった専門機関から意見書を提出してもらう」「親と面談をして状況を確認する」などして、自治体が支援を受ける必要があると判断すれば放課後等デイサービスを利用できます。

3.発達障がいのある児童が放課後等デイサービスに通うメリット

発達障がいを持つ児童が放課後等デイサービスに通えば、さまざまなメリットを享受できます。

ここでは、発達障がいのある児童が放課後等デイサービスに通う具体的なメリットを3つ紹介します。興味はあるものの、通わせようか迷っている保護者の方はぜひ参考にしてください。

3-1.一人ひとりに適したサポートが受けられる

放課後等デイサービスでは、子どもの特徴や発達の特性に応じたサポートが受けられます。施設で行う療育プログラムの具体的な支援内容は、児童発達支援管理責任者が作る「個別支援計画」に基づいて決まる仕組みです。

施設の活動内容は集団行動が多くなりますが、得手不得手や向き不向きを踏まえたサポートが受けられるため、子どもたちは集団生活に必要なスキルを身につけやすくなります。

3-2.コミュニケーション能力や体力が育まれる

放課後等デイサービスは発達障がいを抱えたさまざまな子どもが利用しており、施設では集団生活を送るケースが一般的です。そのため、施設での活動を通してコミュニケーション能力を自然と養えます。

また、施設内でのルールやマナーを守るといった社会生活を送るうえでの重要なスキルも身につけられるでしょう。そのほかにも、屋外で体を動かすような運動療育プログラムが用意されているケースも多いため、体力を育む効果も期待できます。

3-3.学校と家庭以外にも居場所ができる

放課後等デイサービスは、家庭や学校とはまた違った第三の居場所です。子どものなかには、学校と家の往復ばかりになっているかもしれません。また、学校の友達とあまり気が合わず、同年代の子とコミュニケーションが図れないケースもあるでしょう。

そのような時に、第三の居場所があれば、学校以外の場所で気の合う友達を見つけられるかもしれません。また、自分の新しい居場所ができれば、心身の充実につながります。

慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、「ここは居心地がいいな」と感じられるようになれば、子どもの成長にもポジティブな影響を与えてくれるはずです。

4.まとめ

今回は、発達障がいを持つ子どもが放課後等デイサービスを利用するメリットや概要について解説しました。放課後等デイサービスは、子どもの健全な育成、社会参加に向けた支援内容だけでなく、保護者の支援も目的としたサービスです。

一人ひとりに応じたサポートが受けられ、コミュニケーション能力や体力を養える放課後等デイサービスは、子どもの成長を支援してくれます。

ただし、発達障がいだからといって放課後等デイサービスを利用できるとは限りません。利用するには年齢などの条件がある点にご注意ください。

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